3つの距離で戦うということ

 ジークンドー素手の武道ですが、ミタチアカデミーでは、棒術やナイフ術などの武器術も学びます。これはフィリピノカリというフィリピンが発祥の武術なのですが、武器を持っても、素手でも同じ動きで相手に対応できるすぐれたシステムであると思います。
 以前リチャードバステロ先生が来日された際に、「三つの距離で戦えなければならない。」というお話をされた事がありました。
 3つの距離とは、

 1.パンチやキックなどの立ち技の距離

 2.相手と接した寝技(グラップリング)の距離

 3.武器を持った者同士が戦う距離

 の3つだそうで、この3つの距離それぞれで戦える必要があるというお話でした。

 1.と2.は想像がつきますが、3.の武器をもった距離に関しては少し意外だったというか、実戦的な発想だなぁと感じました。

 バステロ先生はこうもおっしゃっていました。「もしも、相手がナイフを持っていたら、絶対に素手で対応しようと考えるな。必ずナイフに対抗できるものを持て。」

 たとえば傘でも石でも、武器を持った相手に対してはこちらも何かを持ってバランスを取るという事です。これは卑怯でもなんでもなく、実戦の世界では至極当然の考えではないでしょうか。素手にこだわるというのは実戦の世界では柔軟性を欠いた考え方といえるかもしれません。

 しかし、最後にバステロ先生がおっしゃっていたのは、「ナイフを持った相手に出会ったらまずは逃げる事を考えろ。それが無理なら何でもいいから武器になるものを持て。」

 まずは逃げる事を考える。これも実践的な考えですね。



 ミタチアカデミー
 http://www.mitachiacademy.com/

 道場での練習風景